竜(龍)山石と呼ばれる石材のうち、黄色のものが黄竜です。
竜山石は、兵庫県高砂市宝殿付近に産する石の総称。白亜紀後期(約1億年前)に噴出した火山灰が凝固してできた、比較的軟質の凝灰岩です。
竜山石の特徴は、加工が容易で硬度が高く、火にも強いことから、建築・造園用石材として広く利用されています。
このため、石材として利用されてきた歴史は古く、古墳時代には石棺として使われました。仁徳天皇陵などの石棺にも使用され、近畿内の巨大古墳の石棺の9割は竜山石製だという説もあります。
また、江戸時代には姫路城や明石城の石垣などに、この竜山石が大量に使用されています。
その後、近代になると美しく優れた建築資材として盛んに活用され、明治3年(1870)に、旧造幣局幣鋳造所、大正11年(1922)に住友銀行本店ビル、昭和3年(1928)には京都ホテル旧館や旧国鉄大阪鉄道管理局等の外壁を飾りました。
高砂市の中央に位置する伊保山、竜山に見られる垂直に切り立った石切場の岩肌は、どこからでも眺められ、高砂の風景の一つとして親しまれています。
竜山石と呼ばれる黄色の石材から、「黄」と「竜」をとって、「黄竜」の名前が付いたとされています。ちなみに、竜山石には、黄竜のほか、その色合いから青竜石、赤竜石もあります。また、高砂市の地元では、古代に竜山石で造られた巨石の宝殿があることから、「宝殿石」の名前でも親しまれています。
兵庫県の加古川下流右岸の相生層群から産する竜山石(流紋岩質溶結凝灰岩)は、白亜紀後期(約1億年前)の火山活動によって噴出した火砕流堆積物が厚く堆積したものです。
火山が噴火した時に吐き出した火山灰や火山砂・レキが、降り積もって堆積 し、火砕岩がつくられます。地上だけでなく、時には海水中にも堆積して岩石となることもあります。
岩石の質は密なものから粗いものまであり、岩石の色も淡い白色 ・淡い緑色や灰色、青白色まで様々なものがあります。
相生層群は、白亜紀後期に兵庫県を含む西日本各地で起こった大規模な火山活動によって生じた地層の一つです。高砂市周辺の相生層群は、流紋岩質の火砕流によって生じた火砕岩を主とし,一部に流紋岩溶岩を含みます。
この相生層群の流紋岩質火砕岩の中でも竜山周辺のものは,一般に均質塊状のガラス質凝灰岩で,さらに堆積後の火山ガラス片のもつ熱や自重による固化作用をあまりうけておらず,適度の軟質であって加工性に富んでいます。このため古くから「竜山石」の名で広く知られ、西日本各地で古墳時代の石棺の素材として用いられました。現在も数多くの採石場から石材として切り出されています。