カリウムを含んだ長石(カリ長石)を多量に含む赤系の代表的な石材です。石質は非常に硬いのが特長です。鮮やかな深紅の色は、花崗岩に含まれるカリウムが、ナトリウムなどの他の成分とも結合しながら、気の遠くなるほど長い時間をかけて変化したものです。こうした濃い赤色の「赤みかげ」は、ほとんど全てが輸入品で、主に装飾用に用いられます。日本国内で産出する数少ない「赤みかげ」としては、岡山産の「万成みかげ」が有名ですが、色は淡い紅色。これは、外国産の「赤みかげ」が、6億年以前の先カンブリア時代の造山活動によってできた花崗岩であるのに対し、「万成みかげ」は、それより約5億年も後年の中生代白亜紀に誕生した花崗岩であることから、その経年変化の差が色の深さの違いになっていると考えられます。
スウェーデン産は「インペリアルレッド」、インド産は「ニューインペリアルレッド」と名付けられています。その鮮やかな深紅の色あいが、上品で高貴な雰囲気を持つことから、「インペリアル」(皇帝、威厳)の冠がつけられました。実際、その上品さから人気が高く、みかげ石の中でも最高級品に位置されています。産地によって色の濃淡が大きく変ります。ちなみに、ブラジル産名は「カパオボニート」。有名建築物にもたくさん使われており、ブラジルから輸入されるみかげ石のトップを占めています。
みかげ石の中でも、濃い赤や黒の色を持つ石材は、中国、韓国、アフリカ、インド、北欧、ブラジルなど、外国産しかありません。それは、石の生い立ちに関係しています。
北欧や南アフリカ、インド、南米ブラジルなど、世界の大きな大陸の中には、地震が起きず、長い間地形が安定している地域があります。約5臆年前の古生代以降、造山活動がないこうした地域は「盾状地」と呼ばれます。全体の形が盾を伏せたような地形をしているので、その名があります。
盾状地は、安定しているために侵食され続け、6億年以前の先カンブリア時代の造山活動によってできた古い花崗岩が地表付近に産出するようになります。「赤みかげ」は、こういった地域で産出されます。
赤い色は、前述したように、カリウム(K)が、風化作用の影響を受けずに長い時間を経過していくことで変化し、濃い赤色になりました。つまり、「赤みかげ」の赤色は、安定した盾状地で気の遠くなるような年月を経てきたことを物語っているのです。また、盾状地の地殻は安定しているため、割れ目のない大きな石が堀り出され、建物の石材として利用されています。
日本においても、日本アルプス・ヒマラヤといった造山地帯は、多くの花崗岩類で占められています。しかし、日本で採石されている花崗岩は白色がほとんどです。これは、6000万年前〜1億5000万年前にできた、花崗岩としてはまだ新鮮な部類に入るためです。従って、赤い花崗岩は、外国産に頼っています。